北見のガス漏れ事故

北海道の北見市で起きた、3人が死亡したガス漏れ事故での北海道ガスの対応に
批判が集中している。


ガス漏れは、直径150ミリの埋設ガス管(鋳鉄管)が、
上下に約10ミリずれる形で破断して事故が起きてしまった。

道路に埋設されているガス供給管から住宅内へガスが漏れ出して死亡事故が起きた事は、
我々ガス事業に携わっている者にはショッキングな事故です。

今回の事故対応について北海道ガスは「関係各所への連携体制が取れていなかった」
と述べているが、実際は、内々で処理して隠蔽しようとしたのだろうと感じる。



ガス漏れの連絡で現場に出動した職員が、「いつもの事だから、大した事では無いだろう」
と言う思い込みと、北見で供給されている4Bガスの特性を良く把握していなかった
のでは無いのだろうか。
(製造ガスである4Bガスは、天然ガスの13Aガスに比べて一酸化炭素を多く含み、
拡散し易い性質である。)

また、複数の場所でガス漏れ警報機が作動しているのにガス漏れ箇所の特定を後回しにし、
消防や警察への連絡を行わなかったのは、危機管理の欠如、そして隠蔽工作といわれても
仕方が無い。


自分が疑問なのは、供給管が完全に破断しているのに、各地域に有るであろう
ガスガバナー(制圧器)の検査機能でガス漏れが何故確認出来なかったのだろうか。
(正常に作動しているのか?)




北見市は05年までガス事業などの都市整備の事業者で、財政難の為ガス管交換及び
天然ガスへの置換が遅れてしまった背景はあるが、それを理由に北海道ガスは、
管理者としての責務を逃れる事はできないであろう。






都市ガス業界は、東京ガス大阪ガスを除くと、経営基盤の小さな企業が多く
自己保全の体質が強い業界です。

最大手の東京ガスでさえ、隠蔽体質は最近まで強かった様に思います。
しかし、2001年の歌舞伎町で起きた雑居ビルの爆発事故でマスコミに叩かれてから
事故対応及び公表の体制がかなり敏速になったように感じます。





今回の事故は、危険物であるガスを扱っている感覚の気薄さと、
企業の危機管理の不備の為に起きた事故だと思います。
同じガス業界に居る者として、非常に残念で悔しい事故です。

北海道ガスには、速やかなガス管の取替えと、被害者への十分な補償を行う事を願います。